「おっさん」を使える企業は、採用では強い。


■NewsPicksの広告「さよなら、おっさん」はいけない。「こんにちは」である IT media


NewsPicksさんの「さよなら、おっさん」という広告が話題というか、ちょっと炎上的な感じになっていますね。サイトを見に行くと「特集:さよなら、おっさん社会」などをやっていて、力をいれている事がわかります。


まぁ、この話とはほとんど関係ないのですが、現在の採用環境においては「おっさん」を活用できる企業は採用上、強い状況になっています。理由は、それほど難しい話ではありません。


■「おっさん」は、中途採用マーケットにおいて不人気

おっさんとを「大体、30代後半~50代前半の転職者層」と定義した場合、やはり採用現場の実感値としては不人気です。もちろん、法律で年齢を求人の条件にすることは禁じられているのですが「若い人がいい」「20代後半の人を採用したい」といった声は、よく聞きます。

※高い技術を持っていたり、事業運営経験があるなど、スペシャルな人材はのぞく。


その理由は、大体、以下のようなものだと思います。


(1)組織の年齢的なピラミッドを維持するための若手採用をしたい。年齢的な意味で、組織の新陳代謝を保ちたい。

(2)若手採用したいのは幹部候補だから。長い期間、活躍し、いずれは会社を担ってくれる存在になる。「おっさん」は活躍期間が短い。

(3)年功序列理論や家庭もちである可能性が高いので、高い報酬を準備する必要がありそう。

(4)他企業での在籍期間が長いと、「変なクセ」がついてて自社のやり方に馴染まない。

(5)人間、中高年になると柔軟性がなくなったりするものだから、育成が難しい。

(6)自社の平均年齢が若いため、若い組織を保ちたい。おっさんだと馴染めなさそう。年下の上司はいやがられそう。


似たような理由も多いですが、ニュアンスも違うので細かく分けてみました。


■「おっさん」を忌避する理由は、ただの慣習か乗り越えられることが多い


こうして「おっさん」を忌避する理由を並べてみると、そのほとんどの下敷きにあるのは新卒採用×終身雇用×年功序列という日本型雇用慣習であることがわかります。そしてその日本型雇用慣習が、主に少子高齢化によって変わりつつある今、「おっさん」を忌避する理由はただの慣習になりつつあります。


(1)に関しては、年齢的な組織のピラミッドを保ちたいというのは少子高齢化によってほとんどの企業がいつかは維持できなくなると思われるので、こだわる意味もなくなっていきます。


(2)に関しては転職するのが割と当たり前になりつつあるので、若手だからといってずっと働いて幹部になってくれるとは限らなくなります。


(3)に関しても年齢と収入が比例するという構図そのものが日本全体で崩壊しつつあるので、転職者の方でも気にしない人も増えています。また家庭環境などによる必要な収入額は人によって違うので、まず聞いてみればいいと思います。


(4)(5)は、全体的にみればそういう傾向はあるかもしれませんが、結局は人によるとしか言いようがないので、そうじゃない人を採用で落とせる面接スキルや逆にそういった人でも、育成できるマネジメントスキルがあれば、乗り越えられるはずです。


(6)に関しては、気持ちの問題なので年齢に限らず集団内の異なる属性の方を忌避する風土を是正した方がいいと思います。同質的な人材しか採用できないのは、明らかに採用上のハンデです。また年下上司、年上部下問題は当人同士の関係と上司のマネジメントスキルの問題です。年下部下、年上上司でも問題が起こらないわけじゃないですからね。


もちろん、こんなにドライに割り切れるわけじゃないというのは分かりますが、「おっさん」を忌避する理由って意外と妥当性が薄いんじゃないですかという話です。


■相対的に「おっさん」を受け入れ活用できる企業は採用が優位になる


実際に、中途採用で同業界同職種のようなジャストの即戦力人材でもない「おっさん」を数多く中途採用し上手に活用している企業さんは数多く存在します。そしてそういった企業は、採用コストを抑えることに成功しています。なぜなら「おっさん」は不人気なので、競争率が低く採用しやすいからです。


例えば、リクナビNEXTなどの中途転職サイトで「40代、50代、活躍中」といった文言を記載している求人情報はそういった狙いを持っていることが多いです。


ということで採用において人材要件に「おっさんを除く」となっているのなら、その理由を見直すことをおすすめします。


こんな実例もありますから。


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